二度の廃刊危機を乗り越えて、今年春に自力復刊を果たした「薔薇族」(編集長・伊藤文学)。
現在は、影坂狩人(かげさかかると)として雑誌「Badi(バディ)」(テラ出版)の連載などで活躍されている
文志奇狩都(あやしきかると)さんが中心となって、「フツーに生きてるGAYの日常」の
akaboshiさんらとともに「薔薇族」ブランドの再建を図っている。
制作にかかる予算は、主に文志奇狩都さんの自己資金から捻出されていて、経営状態は極めて厳しいという。
かつて同誌は、ゲイ雑誌としては、ほぼ独占状態に近いシェアを獲得していて、
一時は3万部を売り上げていたこともあった。当時、もっとも売り上げに寄与していたコンテンツは、
回送券と手数料の500円分切手を同封することで利用できる「文通欄」のコーナーだった。
しかし、文通欄のシステムをそっくり真似たゲイ雑誌が次々と創刊され、
また、無料で文通欄を利用することができたことなどで、急速にそのシェアは奪われていった。
今月7日に銀座で行われた伊藤文学さんのトークショーの中では、
「文通欄の特許をとっておけば良かった」と思わずもらす場面もあったほど。
また、伊藤文学さんのことをいまだにゲイであると信じているゲイは多い。
それは、いかに「薔薇族」が読者の気持ちを理解した誌面作りがなされてきたかを示している。
現在出版されている主なゲイ雑誌は、ゲイのスタッフによって作られているにもかかわらず、
基本的な作りは、伊藤文学さんが作り上げた「薔薇族」と驚くほど変わっていないのは、
「薔薇族」がいかに画期的な雑誌で、多くのゲイに影響を与えたかということだろう。
時代と戦いながら、薔薇族というメディアが残してきたコンテンツには、
どれをとっても道を切り開いてきた「力」が宿っているように感じられる。
■ 薔薇族自力復刊第二号コンテンツ
特集「昭和46年−日本ゲイマスコミ誕生」
再録◎創刊直前に他誌上で語られた第二書房「薔薇族誕生」の経緯
「ホモフレンドからの手紙」(伊藤文学 解説/文志奇狩都)・・・02
再録◎昭和46年当時のゲイ・フレンドリーショップ「仲間が集まる書店」(伊藤文学)・・・05
再録◎文通欄はじめて物語(解説/文志奇狩都)・・・06
実録ゲイコミック◎「ホモの方は読まないでください」(ソルボンヌK子)・・・09
再録◎日本で最初のゲイパレード紹介記事
「かくれていないで表に出よう」(伊藤文学 解説/文志奇狩都)・・・10
検証◎「ゲイマスコミの父」伊藤文学を永年支えた「薔薇族の母」藤田竜(文志奇狩都)・・・12
再録◎昭和ゲイの肉声を聞け「薔薇族の告白」(解説/文志奇狩都)・・・18
検証◎薔薇族グラビア黎明期(文志奇狩都)・・・21
回想録◎「『薔薇族』創刊の頃」(伊藤文学)・・・26
検証!バラコミ史◎リリカル短編作家「竹本小太郎」(文志奇狩都)・・・28
未発表ヤマジュン劇画連続掲載第2弾◎「義父(ちち)との秘密」(山川純一)・・・29
検証◎BACK TO THE 薔薇族「昭和46年の巻」(文志奇狩都)・・・45
akaboshiの薔薇ひらくとき見えるもの◎「本当の幸せ者」・・・50
伊藤文学のひとりごと◎「同性愛物の単行本に熱中していた頃!」・・・52
文志奇狩都の薔薇族夜話◎「『薔薇族』命名由来の真相は?」・・・54
後記/告知◎編集室から(伊藤文学/文志奇狩都/akaboshi)・・・55
□OFFICIAL SITE
https://bungaku.cocolog-nifty.com/barazoku/
(伊藤文学・編集長公式ブログ)
https://karuto.blog8.fc2.com/
(文志奇狩都・副編集長ブログ)
https://akaboshi07.blog44.fc2.com/
(akaboshi・編集チーフブログ)
◆ 『薔薇族』復刊第二号刊行記念「伊藤文學・松下芳雄トークショウ」
◆ https://www.milkjapan.com/2007fm15.html
|milk vol.82 2007/07/22 |home|2007 |