女性の姿で通勤を始めた男性社員に対して、昭文社がまず行ったのは、
女装をやめさせることだった。女装で出勤する彼に仕事をさせるわけには
いかないとし、業務命令書を出し続けた。女装は服務規定違反で、
懲戒委員会にかけると通告し、男性の写真やビデオも撮影した。
それにもかかわらず男性社員が聞き入れなかったため、4月17日付けで
解雇通知書を郵送にて送ったという。
会社の代理人である河合弘之弁護士は、「性同一性障害を抱えた人の
苦しみは理解できるが、男性として採用した社員が、突然女性になることを
会社側が受認するのは難しい。女装は職場の秩序を乱す行為であり、
『女性として扱わねば配転を拒否する』というのは服務規程違反に当たる」と主張。
人権への理解は持っているけれども、人権を尊重した対応はとれない、という
矛盾した昭文社の企業論理は、申し立ての結果がどうであれ、大きな非難を免れないだろう。
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