■東京に増える男女平等校に関するレポート
■1月16日付 読売新聞
1月16日付けの読売新聞にて、男女平等校が増加傾向にある東京の教育現場の様子を伝える特集が掲載された。
ただの呼称に関する議論だが、そういう小さな違いを考えていくことで、男女平等という概念が育まれていくという大切さを伝えようという記事になっている。
社会面1/4というスペースを使用して大きく扱った点も高く評価したいところ。
内容は、出席簿の順番は男女の区別なし、呼称はだれでも「さん」付け、運動会のかけっこも男女一緒―、そんな学校が東京都内では当たり前になってきているという内容で、このような傾向を全面的に支持する立場で報じている。専門家の意見として、支持側に「混合化は当然のこと」とする東京家政大学教授の樋口恵子さんのコメントを、不支持側に「何でも(男女)一緒はおかしい」とする評論家の塩田丸男「さん」のコメントをそれぞれ掲載している。以下、掲載記事より。
■呼称は誰でも「さん」付け、運動会のかけっこも男女一緒
出席簿の順番は男女の区別なし、呼称は誰でも「さん」付け、運動会のかけっこも男女一緒。東京都内でこんな学校が増えている。自然に「男女平等を身につけさせようとする試みで、都教育庁のまとめでは、男女の区別なく出席簿をアイウエオ順にしているのは公立の小学校で四校に一校、都立高校では二校に一校の割合になっている。「君」呼びをやめて「さん」付けにするよう指導している小学校や教育委員会もある。
■子供たち「慣れれば平気」
東京都文京区立礫川(れきせん)小学校で「さん」付けを取り入れたのは95年3月の卒業式から。証書を手渡す際、男女の区別なく、「さん」と呼び掛けた。
きっかけは、教師の間から「無意識に『男が先で女が後』になっているのでは」と指摘する声があがったことだった。例えば、出席簿、靴箱、ロッカーは男女別で、しかも男子の後に女子が並ぶ。そこでまず、男女の垣根を取り払うため、男女とも「さん」付けで呼び掛けるように教え始めた。
その結果、徐々に呼び捨てがなくなり、乱暴な言葉遣いも減った、という。96年度には出席簿、運動会のかけっこの男女別をなくし、靴箱、ロッカーも男女一緒のアイウエオ順に変えた。
子供たちの間では「『さん』で呼ばれると気持ちいい」「男の子を『さん』で呼ぶのは変な感じだったけれど、慣れれば大丈夫」と好評で、同小の境野宏樹教諭は、「地域や家庭ではまだ、男の子は『君』呼びが一般的。校内でも、意識しないと『さん』は使えない。でも『さん』付けを教えてみたら、その後に続く言葉も丁寧になっている」と話す。
■土井議長の時代に国会も『さん』付け
国会では、93年8月から約3年間、衆議院本会議で「君」付けが消えた。土井たか子議長が、男女の別なく「さん」付けに変えたからだ。しかし、男性議長に交代した途端、「君」付けに戻っている。
衆議院規則では「議員は互いに敬称を用いなければならない」と規定しているが、「君」付けか「さん」付けかといった細かい取り決めはないという。
一方、都議会も89年の9月議会からの2年間、女性副議長が議長に代わって議事を進行する際、本人の意向で男女とも「さん」付けになった。93年3月議会からは女性議員だけが「さん」付けで呼ばれている。
■混合化は当然のこと
女性問題に詳しい樋口恵子・東京家政大学教授の話
「出席簿を男女で分けるのは日本ぐらいなもので、混合化は当然。そもそも日本はベビー服やランドセルなど、男女を分けすぎている。呼称もそうだが、すべて思いこみ。土井たか子さんの功績は大きい」
■何でも一緒はおかしい
評論家・塩田丸男さんの話
「新聞紙上の男女の呼称表記は、男性は「氏」で女性は「さん」だし、子どもの場合も、「君」「さん」の方が人間らしい気がする。」何でもかんでも男女一緒というのはおかしいと思う。男の子が「君」で何が悪いのだろうか」
|milk vol.13 1999/01/22 |home|1999 |