【月間メディアチェック】思春期悩む子いるから・同性愛授業で
■思春期悩む子いるから・同性愛授業で
■2月1日付・朝日新聞

■先生が「告白」/劇のテーマ

同性愛に関する問題を学校教育に取り入れる試みが、少しずつ広がっている。中学校や高校の授業などで同性愛を取り上げた実例が、1月21日からの2つの教研集会で発表された。「自分は性的に異常ではないか」と悩んできた生徒からも反応が返ってきているといい、教師たちは性的少数者の人権に配慮した教育の必要性を訴えた。

■中高の取り組み少しずつ拡大中

岡山での日教組主催の教研集会では、京都府内の高校で数学を教える土肥謙一郎教諭(36)が、同性愛者であることを公表した同僚教師の話を発表した。

土肥教諭は2年前の文化祭で、教職員劇の脚本を担当した。同性愛をギャグとして織り交ぜるかどうか迷い、同僚の高取昌二教諭(36)に相談すると、分厚い手紙を渡された。

高取先生が自らゲイであることをつづった「手記」だった。中学生のころから男性に恋愛感情を抱きながら「そんなはずはない」と自己否定し続けたこと。「性」が話題にのぼるたびに、肉体と精神が引き裂かれるような苦しみを味わったこと。同性愛について正しい知識を得てようやく、自分を認めることができたこと…。

劇では、この体験をストーリーの柱にすえることにした。文化祭当日。ゲイの主人公を大声で笑っていた生徒たちも、肉親にさえ理解してもらえない孤独感や悩みを主人公が告白する場面になると、急に静かになったという。

埼玉県上尾市立東中学校の小島佐知子先生は昨年、3年生を対象に「異性愛と同性愛」の授業をした。事前のアンケートで「好きな相手」に同性または両性を挙げた生徒が、男女とも数%あった。

授業では、愛には様々な形があることを説いた。多くの資料を紹介し、恋愛の対象が同性に向かっている生徒に、自己肯定ができるよう手助けをした。

小島先生は「多くの文献から、同性愛者が自分の性的な関心に気づくのは思春期だと知った。だからこそ、中学校で取り上げる必要がある」と訴える。

全教などが滋賀で開いた教研集会では、大阪の私立女子高校で生物を教える池田久美子教諭(34)が「性的少数者の人権」のテーマで発表した。

一昨年、3年生の授業で、エイズや同性愛について取り上げた。その授業で池田教諭は自分も同性愛者であることを打ち明けた。

その後、何人かの生徒が無記名の感想文を寄せた。「私も今まで本気で好きになった人は女の子でした・・・今でも、自分が同性愛者か異性愛者か、いまだに分かりません」「実は、自分も今、女の子と付き合っています」

今年度も1年生の授業で同じテーマを取り上げた。池田先生は「結婚して出産するのが普通の道と一般には考えられているが、それができない人たちもいるという情報を学校で教えておかなければ。人知れず悩む子どもたちは必ずいる」と話している。


|milk vol.14 1999/02/22 |home1999

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