最新の医療技術を使えば男性が妊娠して赤ちゃんを産むことも可能―。2月21日付の英日曜紙サンデータイムズは、イギリスの体外受精の先駆者のひとりであるロンドン大学のロバート・ウィンストン教授のこんな常識を覆す見解を紹介した。
教授によると、体外受精した胚(はい)を男の腹腔内に移植し、大腸などの内蔵に「着床」させる。胎児は胎盤を通じて大腸から栄養分を吸収して成長、臨月を迎えたら開腹手術で取り出す。男性には流産を防ぐため大量の女性ホルモンを投与する必要があるが、原理的には女性の子宮外妊娠と同じ。実際にイギリス・オックスフォード州で、受精卵が女性の腹腔内に移動して大腸の表面に着床、無事に育って生まれるという珍しい子宮外妊娠の例があった。
同性愛の男性カップルにとっては朗報? かもしれないが、早くも賛否両論が出ている。ノッティンガムの不妊治療センターのサイモン・フィシェル博士は、女性が事故で子宮を失い、代理母使わずに子供をつくりたいと望んでいるカップルには倫理的に問題はなく、危険性さえなければ施術するだろうと賛成論。これに対し、やはり体外受精専門家のイアン・クラフト氏は、「男が妊娠可能でも、認めるかどうかは別問題。危険が伴うし、自然の摂理にも反する」と反対を表明した。
|milk vol.15 1999/03/22 |home|1999 |