【月間メディアチェック】朝日新聞・同性愛の男性同士が子どもを持つことも可能に
■みんなのQ&A「男の妊娠」同性愛の男性同士が子どもを持つことも可能に
■2月27日付 朝日新聞

Q.男性だって赤ちゃんが産めるという話を聞いたんだけど、本当なの。

A.イギリスの日曜紙サンデー・タイムズが報じた記事のことだね。体外受精の第1人者といわれるロンドンのハマースミス病院のロバート・ウィンストン博士が、「最新の医療技術を使えば、男性でも妊娠が可能」と語ったそうだ。近く出版される同博士の著作に記事より詳しい内容が載るらしいよ。

Q.男が赤ちゃんを産む映画もあったけど、信じられないなあ。どうしてそんなことができるんだろう。
A.体外受精の技術があって初めて可能になる。ウィンストン博士の見解では、男性の妊娠は女性の子宮外妊娠と原理は変わらないんだそうだ。

Q.へぇー。

A.妊娠はふつう、女性の卵管で卵と精子が出あって、受精卵の細胞が増え、胚になって子宮に着床する。でも中には卵管の中に着床したり、腹腔というおなかの中をさまよった受精卵が腹膜や大腸などにくっついてしまうことがある。

Q.それで赤ちゃんは育つの。

A.胎児は、胎盤を通じて母親の体から酸素や栄養分を受け取って育つ。胚の細胞が分裂していくと、胎盤になる細胞がつくられるんだ。子宮でなくても、腹膜などの柔らかい組織にくっつけば、そこで胎盤ができることがあるんだ。胎児が一定の大きさに育ったら、帝王切開して取り出す。

Q.それを人工的に男性でもやるわけか。

A.女性の腹腔内に着床した受精卵が育ち、帝王切開で出産にこぎつけた、という例が国内でもあって、日本の産婦人科たちも「理論的には男性も可能」とみているようだ。だけど、現実にできるとはほとんど考えられていない。この方法は危なすぎるんだ。

Q.どうして。

A.腹腔内の妊娠は、胎盤がはがれて大出血を起こしやすい。胎児はおろか、母親の命も危険にさらされる。だから子宮外妊娠が分かれば、母体を守るためふつうは胎児を中絶させる。腹腔妊娠で出産できたケース自体、奇跡に近いんだ。

Q.男性の場合は、女性よりもっと難しいのかしら。

A.男性が妊娠を続けようと思えば、胎盤の機能を維持できるか分からないし、生まれた赤ちゃんにどんな影響が出るかもはっきりしない。仮に実現を目指すにしても、当分は動物実験などの研究が必要だろうね。まあ、現段階では、夢物語だね。

Q.友だちの女の子は「できたらいいのに」と言っていたわよ。

A.将来、もし男性が出産できるようになったら、女性が子宮を失ってしまったカップルや、同性愛の男性どうしが子どもを持つことも可能になる。働く女性の代わりに、男性が「産休」を取ることになるのかも知れない。


|milk vol.15 1999/03/22 |home1999

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