大手のビール会社アンヒューザー・ブッシュ社(本社:セントルイス)がゲイ雑誌(同性愛者向け雑誌)に掲載したビール広告に数多くの反応が寄せられている。話題となっている広告は、「EXP」誌4月22日号に掲載された「バッド・ライト」の商品広告。手をつないだ男性2人が描かれている同広告のコピーは、「自分らしく、バッド・ライトらしく」。「セントルイス・プライドフェスト'99の名誉スポンサー」というスローガンも入っている(「プライドフェスト」は6月に同市で開催予定の同性愛者祭り)。
アンヒューザー・ブッシュ社のもとには、この広告に対する激励や抗議の電話が殺到し、同社では緊急の消費者ホットラインを設け対応している。激励の電話はおもに同性愛者から。抗議の電話はおもに保守派クリスチャンから寄せられており、リーダーが組織的な電話作戦を奨励している。保守派クリスチャンのリーダー、ジェリー・ファルウェル氏は、自ら編集・出版している「ファルウェル・コンフィデンシャル」誌で「同性愛のイメージが安易に茶の間に入ってくることを私たちは危惧する。それを広告主にわからせるためにも抗議運動は必要」と訴えている。
これに対して、ビール会社は、同性愛者向け雑誌のたった一つの広告がこれほど世間の注目を集めることは「まったくの想定外。当社は消費者の多様性を考えている。今後も、顧客の意見や考えを大事にしていきたい」とコメントしている。
|milk vol.17 1999/05/22 |home|1999 |