かつて日本がバブル経済で賑わいを見せていた頃、ボディコンスーツや黒服などの衣装をまとったスノッブな人種の社交場として、もてはやされていたディスコ。
最近ではクラブへとその人気が集中していて、ディスコという言葉の響き自体が、何だか昭和世代の香りを漂わせています。
ところで、そのクラブとディスコ、そもそもその両者の違いって何なの?と疑問に思われたことはないでしょうか。
年齢層がより若いのがクラブで、高いのがディスコ。ハウスやテクノがかかるところがクラブで、オールジャンルのダンスミュージックがかかるところがディスコ?などと自分なりに解釈している人もいるかもしれません。
世界的に見ると、じつは両者に違いなどはまったくありません。だから、「club lovely」が「disco lovely」と改名したところで、中身を変更することは間違いということになります。
しかし日本では、クラブとディスコは明らかに異なるものとして捉えられています。なぜその違いが生まれたかというと、それはバブル期に「ディスコ」という商品の売り方を誤ったことが一因と考えられています。
景気低迷とともに高級志向で売っていたディスコは、イメージの転換を図られます。しかし「ディスコ」とは各パーティの総称のため、それ自体のイメージを変えるとなるとじつに困難。そこでまったく別の名称で、誰もが手軽に音楽を楽しめる空間という新たなマーケットを作ろうとしたとき、それがたまたまディスコの別名である「クラブ」で都合が良かったというわけなのです。
両者のわかりやすい主な違いをあげると3つ。まずは料金で、クラブはディスコと比べて入場料金が一般的に低めです。またディスコでは男女で差をつけるといったことがありますが、クラブではほとんどが均一。二つ目は服装チェック(ドレスコードチェック)の有無。ディスコは服装チェックがあるのが普通ですが、クラブでは特別なイベントを除いては、ほとんどみられません。最後は料理で、ディスコは大概何でも食べられますが、クラブはドリンクのみか、あっても軽食くらいです。
手軽さが売りの「クラブ」、豪華さが売りの「ディスコ」。時代の趨勢としては、クラブの人気が断然高まっているのが現状です。
また、最近のクラブは娯楽という域にとどまらず、音楽情報の発信基地にもなっています。新人アーティストのプロモーションなどにも活用されていて、たとえばMisiaなどは、デビュー当時から12インチのアナログ盤をリリースしていましたし、クラブでのヘビープレイと、彼女自身が全国のクラブを回ってライヴなどを行うことによって、全国的な人気を得たことは有名な話です。大沢伸一や 石野卓球など、有名なプロデューサーも、今もなおクラブでDJ活動を行い、彼らの音楽活動の重要な一端を担っています。
筆者:高橋誠/MILK編集部
|milk vol.17 1999/05/22 |home|1999 |