倒産やリストラなどで経済的に行き詰まった夫婦が「赤ちゃんが生まれても育てられない」と養子(特別養子)に出すケースが出ている。これまで養子といえば、未成年カップルの間や、レイプ・不倫によって生まれた子など結婚できない男女の間に生まれた子がほとんどだったが、長引く不況の陰は、夫婦間の赤ちゃんにまで及んでいる。
「不況養子」の全国的な実態は、法的手続きを行う家庭裁判所が公表しないためわからない。しかし、東京で養子の相談も受けている「環の会」(横田和子代表)によると、妊娠した妻(子は4人)がリストラで仕事を失い、夫から、出産したら養子に出せと迫られている例があり、表に出ないケースもあるという。母子家庭のように行政の支援も受けられないといった要因が、職を失った夫婦のストレスをさらに大きいものにしている。
全国から養子相談を受けているボランティア団体のベビー救済協会(広島県佐伯群大野町)の景山浄子さんは「無理な子育ては虐待にもつながりかねない。少子化時代、子どもを育てるのは実親だけと狭く考えなくてもいいのでは」と話している。(参考記事・ソース:6月24日付東京新聞)
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