ニュージャージー州最高裁は先月4日、ホモセクシャルであると公言した人物をボーイスカウトがリーダーからはずしたことは、同州の定める差別禁止法に違反するという判決を下した。私的な団体には、会員に誰を迎えるか決定する自由が認められているが、今回はその自由よりも差別禁止のほうが重要であるとの判断に基づいた判決となった。
同州では、1991年に差別禁止法を修正し、店、レストラン、病院、学校などの公共施設では性的指向に基づいて人を排除してはならないと定めた。しかしこれには宗教組織や教育施設など非常に私的な組織については適用が除外されている。今回の判決は、米ボーイスカウト(BSA)は広く隊員を募集する大規模な組織なので私的な組織とは認められず、特定の信条や一つの宗教のみを支持しているわけでもないので宗教組織とも認められなかった。
しかし昨年カリフォルニア州最高裁が下した判断では、BSAは私的な組織であり、その宗教上の信念に反してホモセクシャルや無神論者を受け入れなくてよいとされた。
今回の判決に対しては、さまざまな宗派が賛成・反対双方の立場で議論を繰り広げている。監督教会、ユニテリアン・ユニヴァーサリスト、クエーカー(フレンド会)会員、改革派ユダヤ教徒、再建主義ユダヤ教徒からは、BSAは、リベラルな見解を持ち同性愛者を教職者にすることを認める監督教会などをスポンサーとしているのに、隊員には同性愛者を認めないのはおかしいと指摘している。一方、同性愛者に否定的な立場をとるモルモン教会、ローマ・カトリック教会、合同メソジスト教会、ミズーリ・ルーテル教会などBSAの上位 4大スポンサーはこの判決に批判的だ。(参考記事・ソース:8月25日付ルーテル・プレス・アワー・サービス他)
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