(毎月22日配信・無料) 【今月の映画】 ラリー・クラーク監督作品 『KEN PARK』

ガールフレンドから妊娠を告げられ自殺する少年、自分の首を締めなが らオナニーをするのが好きな少年、信仰深い父親に育てられつつもSMが 大好きな少女、マッチョで厳しい父親にベットで迫られてしまう少年、 ガールフレンドのその母親の両方と関係を持つ少年。カリフォルニア郊 外に住む10代の若者5人の姿を、『KIDS』のラリー・クラーク監督がド キュメンタリータッチで捉えた秀作。

ラリー・クラークは若さや青春について理想としてはとらえない。むし ろ先の見えない不安定さや若さゆえの無謀さによる破滅的な行動など、 大人が期待する理想的な若者像などなにも見えてこない姿が描きだされ ていく。しかし、これは自暴自棄な行動に出る若者たちの物語、という だけではなく、むしろ親としてどういう風に自分自身に折り合いをつけ ていいかわからない大人たちの物語とも言える。子供を監督するはずの 大人たちもまた、無軌道な行動に出ているからだ。紋切り方の社会規範 や道徳を嫌うクラークの大人社会への欺瞞が批評的にとらえられている。

とくに自分の性癖を押し隠しつつも息子に迫ってしまうゲイの父親のエ ピソードは、「アメリカン・ビューティ」の出てきた自分の同性愛傾向 を嫌う元軍人の父親に近くてなかなか興味深い。これは父権社会やマッ チョな精神性に対する批判なのか。

クラークの少年たちに対する視線は、少女たちに対するものより、親密 でエロスを感じさせる。彼らの未熟な生々しさと脆弱な生きざまがリア ルに捉えられていて、映画全体の痛みとして貫かれているようだ。セッ クスシーンも多く挿入されているが、挑発的、というよりもむしろ、こ れがありのままの現実だよ、というクラークの声も聞こえてきそうだ。

■監督:ラリー・クラーク/エド・ラックマン
■脚本:ハーモニー・コリン 
■主演:ジェームズ・ランソン/ティファニー・ライモス/他
■2002年/アメリカ/96分
■配給:クライドフィルムズ
■2003年9月27日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開

□OFFICIAL SITE
http://www.clydefilms.co.jp/kenpark/




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