(毎月22日配信・無料) 【今月の映画】 フランソワ・オゾン監督作品 『8人の女たち』

雪の降りしきるクリスマスの夜に、大邸宅に住む一家の主人が殺され た。彼となんらかの関係があった8人の女たちの誰が犯人なのか…。 フランス映画界の異端児フランソワ・オゾンによる、歌あり踊りあり ブラックな笑いありの、ゲイテイストあふれるゴージャス・ムービー。 世代の異なるフランス映画界の女優たちを集め、アガサ・クリスティ 風のミステリーが展開される。2002年ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞。

従来の作風とはやや異なる前作『まぼろし』とは違い、今回の『8人 の女たち』は、それまでの彼の作品にあった、どこか底意地の悪いユ ーモアセンスと、いわゆるゲイテイストがメインストリームの映画と してうまく機能した結果、と言えるかもしれない。『ホームドラマ』 同様、限定された状況下の殺人事件を発端としているが、出演女優の 好演(怪演?)もあってか、より毒と笑いに満ち、エンターテイメン ト性あふれた完成度の高い作品になっている。リアルな生身の女性像 を捉えた『まぼろし』と違い、かなり戯画化した女性像がここでは展 開されるが、女優たちの魅力は最大限に引き出されている。後半は女 同士の愛が焦点になってくるが、どの女優が絡むかは観てのお楽しみ。

オゾンの映画にしては珍しく、昔の映画の引用にあふれているが、過 去に目配せしながらも、視点は新しい方向へと向いているし、映画そ のものは完全にオゾンの美意識と個性で貫かれている。毒に満ちてい ながらも、観た後は実に幸せな気分になれる不思議な映画。女優陣の なかでは、欲求不満のオールドミスで、常に家族に攻撃的に当り散ら すイザベル・ユペールと、歌うシーンがなんとも妖艶きわまりないフ ァニー・アルダンという、フランス映画界を代表する熟女たちの魅力 が特筆に値する。

■監督・脚本:フランソワ・オゾン
■主演:カトリーヌ・ドヌーヴ/イザベル・ユペール/エマニュエル・ ベアール/ファニー・アルダン/ヴィルジニー・ルドワイヤン/リュデ ィヴィーヌ・サニエ/ダニエル・ダリュー/フィルミール・リシャール
■2002年/フランス/111分
■配給:ギャガ・コミュニケーションズ Gシネマグループ
■2002年11月23日(土)シネマライズ、銀座テアトルシネマほか全国公開
MILCINEMA評価:★★★★

■受賞・出品歴:2002年ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀芸術貢献賞)受賞

□OFFICIAL SITE
http://www.gaga.ne.jp/8femmes




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