【オーストラリア】メルボルン・ゲイ殺人犯にきびしい判決
オーストラリア・メルボルンの上級裁判所は、レイプ犯人と間違ってゲイの男性を殺害したクリスチャン・ディーバー(24)とジョン・ホワイトサイド(28)に対する控訴審で、今月4日、第一審よりも重い懲役6年の判決を言い渡した。容疑者の2人は、この6月に禁固3年の判決を第一審で受けたが、フィリップ・カミンズ判事は、容疑者を釈放し、刑の執行を延期した。容疑者は判決の時点で6ヶ月間拘留されていた。

この処置に地元のゲイコミュニティーは、異性愛の人間に比べてゲイの生命が軽く扱われていると強い不信感を示した。検察側も不当な判決と控訴していた。

この事件は昨年、公園にいたキース・ヒビンズさん(45)とパートナーのデヴィッド・キャンベルさんが、レイプ犯人と間違われて殺害されたもの。容疑者の2人はレイプの通報を聞き、公園に駆けつけたところ、ヒビンズさんたちを発見。容疑者らをゲイバッシングと思ったヒビンズさんたちは逃げ出したが、障害のあるヒビンズさんは容疑者らに捕まり、ひどい暴行を受けた。ヒビンズさんは意識不明に陥り、11日後になくなった。

判決に先立ち、上級審のジョン・ウィネッケ判事は、「容疑者らの行為は明らかに行き過ぎである。ヒビンズさんらが彼らの威嚇に対して逃げ出したというだけでレイプ犯人と決めつけ、よく確かめもせずに襲いかかり、無抵抗のヒビンズさんを死に至らしめたのは、あまりにも思慮に欠ける行為だ。容疑者の行為がどのように正当化されようとも結果的に無実の命が犠牲になったという事実は厳粛に受け止めなければいけない」と語った。

上級審では3人の判事が一致して容疑者らの刑期を4年以下に減刑しないという条件付きで懲役6年に延ばすことを決定。メルボルンの犯罪被害者支援連盟は、判決を評価しているが、容疑者らは控訴する構えをみせている。


|milk vol.33 2000/08/22 |home2000

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