【国内】埼玉医大委・女性の性転換手術承認を申請
埼玉医大総合医療センターで開かれた「ジェンダークリニック委員会(委員長・安部達教授)」は4月16日、性同一性障害の女性患者一人の男性への性転換手術の実施を同大倫理委員会(山内俊雄委員長)に申請することを決めた。申請は来月の倫理委で承認される見通しで、大学倫理委が正当性を認めた日本初の性転換手術が夏にも実施されることになる。

性転換手術は、生物的には女性(男性)なのに、女性(男性)であることに苦痛を抱き、異性に転換することを希望している性同一性障害の患者が対象で、1995年に原科孝雄同大総合医療センター教授(形成外科)が女性から男性への性転換手術2例の承認を同大倫理委に申請した。

倫理委は1996年、「外科的な性転換手術も正当な医療行為」と認めた。しかし、一方で日本では性転換手術を行う環境は整っていないとし、(1)専門家集団による診断基準の明確化と治療に関するガイドラインの策定 (2)形成外科、精神科、産婦人科などからなる医療チームの結成と患者のケア体制などの整備 (3)性同一性障害に対する一般の理解を得るための努力―を求めていた。

その後、同大では専門家による医療チームとしてジェンダークリニック委を設置し、昨年5月には、日本精神神経学会の特別委員会も性同一性障害の診断と治療に関するガイドラインをまとめ、性転換手術も認めた。このためジェンダークリニック委では、倫理委の求めた環境は整備されたとして申請に踏み切った。

今回の患者は、1995年に倫理委で審議された2例のうちの1例で、東北地方の女性。6年前から同大総合医療センターで男性ホルモンの投与や精神治療を受けていた。申請が承認されれば、男性器形成や卵巣摘出などの手術を受けることになる。

性転換手術の希望者は国外で手術を受けたり、国内の民間の美容外科などでホルモン投与や性器除去などの治療を受けていたが、公的機関が正当な医療行為と認めた例はなかった。同大倫理委では、性転換手術を医療行為とすることに否定的な反響が少なかったことから、社会的な理解も得られていると判断しており、申請はすんなり承認されるとみられる。


|milk vol.4 1998/04/22 |home1998

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