【MILKシネマ】公開直前・映画『レインメーカー』徹底分析!!
今夏全国松竹・東急洋画系にてロードショー(ギャガ・ヒューマックス共同配給)
監督・脚本・製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ 原作:ジョン・グリシャム (『原告側弁護士』新潮社刊) 製作:マイケル・ダグラス/スティーブン・ルーサー/ フレッド・フォーカス 撮影監督:ジョン・トール 音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:マット・デイモン/クレア・デーンズ/ジョン・ボイド/ダニー・デビート他
上映時間:2時間15分 97年度・米・シネマスコープサイズ


□筆者:MITSU 1972年7月生まれ・東京都出身。映画ライターとして東京国際映画祭などの取材を担当。 MILKでは創刊時より映画関連記事を執筆。映画製作、字幕製作などにも携わる

ストーリー&解説:
ルーディ・ベイラー(マット・デイモン)はロースクールの3年生。レインメーカーに なることを夢見ているが、金もコネもない彼は、ブルーザー・ストーン(ミッキー・ロー ク)に雇われることになる。相棒として紹介されたのは司法試験には受からないが 経験は豊富なデッグ・シフレット(ダニー・デビート)。さっそく彼は、白血病で入院 していた息子の保険金支払いを拒否されたということで、大手保険会社を訴えたい というある低所得家庭を訪れる。息子が助かる唯一の方法は、骨髄移植しか残され ていない。にもかかわらず、保険会社は契約書の一文をあげ、支払いを拒む。ルー ディは、生への情熱を持ち続け、両親のことも心配している、同じ年代のそんな息 子の姿を見て、いつしかレインメーカーになる夢を捨て、正しさとは何かということに 目覚めていく…。

『評決のとき』('96)『ペリカン文書』('93)『ザ・ファーム/法律事務所』('93)『依頼 人』('94)と数々のヒット作を放つベストセラー作家・ジョン・グリシャムの映画化最新 作。製作は『フェイス/オフ』('97)のマイケル・ダグラス。主演は『グッド・ウィル・ハ ンティング/旅立ち』('97)でアカデミー賞脚本賞を受賞した27歳の若手実力派ス ター、マット・デイモン。そして『ロミオ+ジュリエット』('96)でディカプリオと共演して 注目を集めたクレア・デーンズ。

タイトルの「レインメーカー」は、大手法律事務所で金払いの良い依頼人だけに 囲まれ、雨のごとく金を降らせて成功を納める弁護士のこと。

■ペンタゴン評価:1800円 T:3 S:4 A:4 P:4 M:3
(T:テンポ、S:ストーリー、A:キャスト・演出、P:映像、M:サウンド 5段階評定/2000円を超えるか、ひとつでも5がある場合、劇場で見る価値があることを示してます)

『セブン』や『ゲーム』『Mr.ビーン』とヒット作を配給し続け、ソニーやナムコ、C&R などと提携して独自のCG作品も製作していくという、前途洋々のギャガ・コミュニケ ーションズ配給による新作。映画の著作権を管理する新会社を設 立するなど、最近ではプロデューサー等、俳優業以外の部分での活躍が著しい マイケル・ダグラスの依頼により実現したものだ。

今年来日した際のインタビューでは、マイケル・ダグラスはこんなことを言っている。 「映画は脚本が重要。最近、俳優からは良い脚本が少ないという不満が続出して いる。」「自分の映画作品のほとんどは心理的なドラマが中心で、特殊技術に頼る ことは少ない。古いといわれるかもしれないが、観客は感情移入しやすいはずだ。」

本作の出来映えも、そんなダグラスの言葉がよく反映されたものになっていると言える。 とくに脚本は、コッポラ監督自身が入念に手がけたということもあり、 真実味を出すことにこだわった人物設定やストーリーの展開は、 『ゴッドファーザー』的な良質なフィクションを表現したかったという意志が伝わってくる。

そういった理由からか、ロケもスタジオ撮影が極力避けられている。 主要シーンであるメンフィス・ロケでは、実在の建物が多く使われている。ルーディが住むガ レージ・アパートは本当にミス・バーディーの家として使われた家の裏にある。ブル ーザーがデックを夕食に連れていく“ブッチャー・ショップ”も実在する店。メンフィ スで一番古い食堂“アーケイド”は実名のまま使われ、徹底的に本物にこだわる姿 勢が貫かれている。サンフランシスコ湾東岸にあるアラメダ海軍空軍基地(NAS)の 飛行機格納庫を借りて作られた巨大な法廷セットでのシーンも、本物らしさが追求 され、実際の弁護士が出演からアドバイザー役まで担当した。

見所は、久々に力の入ったコッポラの演出とそれに答えたキャスト陣。特に今年 一番の注目株であるマット・デイモンとクレア・デーンズの共演に注目だ。

□公式ホームページ(ギャガコミュニケーションズ)
https://www.gaga.co.jp/home.html


|milk vol.5 1998/05/22 |home1998

このページのトップへ戻る