【MILKシネマ】公開直前・映画『ウェルカム・トゥ・サラエボ』徹底分析!!
今夏恵比寿ガーデンシネマにてロードショー (アスミック配給)
監督:マイケル・ウィンターボトム 製作:グラハム・ブロードベント、ダミアン・ジョーンズ 原作:マイケル・ニコルソン(青山出版社刊) 撮影監督:ダフ・ホプソン  脚本:フランク・コトレル・ボイス 音楽:エイドリアン・ジョンストン
出演:スティーブン・ディレーン、マリサ・トメイ、ウディ・ハレルソン他
上映時間:1時間45分 97年度・英・シネマスコープサイズ


□筆者:MITSU 1972年7月生まれ・東京都出身。映画ライターとして東京国際映画祭などの取材を担当。 MILKでは創刊時より映画関連記事を執筆。映画製作、字幕製作などにも携わる

ストーリー&解説:
ボスニア人、クロアチア人、イスラム教徒、セルビア人といった人種が入り乱れる ボスニア戦争の中心地・サラエボで取材を続けるイギリス人ジャーナリスト、マイケ ル・アンダーソン(スティーブン・ディレーン)。彼は何人もの民間人が殺されていく 惨状を目の当たりにし、カメラにおさめていたが、関心をあまり示さないロンドンのメ ディアの報道姿勢や、対応の鈍い西欧諸国の首脳たちに日々憤りを覚えていた。 そんなある日、マイケルはサラエボの街で孤児エミラと出会い、この子たちを救うた めにはどうすればよいか悩みはじめる…。

前作の19世紀の悲恋を描いたケイト・ウィンスレット主演『日陰のふたり』が世界 的に評価されたマイケル・ウィンターボトム監督の最新作。イギリスの記者マイケル・ ニコルソンの実話をもとに映画化した。テーマに賛同して集結した出演陣は、 舞台を中心に活躍をしているスティーブン・ディレーン、『いとしのビニー』でアカデミー賞 助演女優賞を獲得したマリサ・メイら。音楽でもブラーやザ・ストーンローゼス、 マッシヴ・アタックなどの超豪華メンバーが参加。'97カンヌ国際映画祭正式出品作品。

■ペンタゴン評価:1600円 T:3 S:3 A:3 P:4 M:3
(T:テンポ、S:ストーリー、A:キャスト・演出、P:映像、M:サウンド 5段階評定/2000円を超えるか、ひとつでも5がある場合、劇場で見る価値があることを示してます)

近年の映画界では、全くのフィクションで観客の感動を誘うヒット作品を作り上げ ることが難しくなってきていることから、『タイタニック』に代表されるように実際に起 こった事件を映画化したり、あるいは『L.A.コンフィデンシャル』のようにフィクション と融合させるといった手法がよくとられている。観客も感情移入がしやすいし、話 題性が作品内にはじめから取り込められたりできるといった製作側のメリットも多い。 そのため、地域紛争なども映画のテーマとしてかなり早い段階から企画されること が増えてきている。

そのような中で、ボスニア戦争を取り上げたマイケル・ニコルソンの著書を新聞記 事で知ったグラハム・ブロードベントの対応も素早かった。グラハムは紛争が激化 しているなかで、すぐに映画化権を買うことを決めた。監督も人間の感情を描き出 すのがうまいという理由で、早々にウィンターボトムを起用することを決め、脚本も ウィンターボトムと何度も仕事をしているフランク・コトレル・ボイスが選ばれた。 その後、幸運にも紛争は1995月12月に平和協定が結ばれ停戦になり、撮影は 96年の夏に十週間かけて、ボスニア、クロアチア、マケドニアで行うことができた。

映画では実際に起こった事件を、現地の同じ場所で再現された。当初、スタッフ は現場で同じように撮影をするのは無神経すぎると考え、別の場所での撮影を 考えていたが、市の責任者や住人たちと話をするうち、彼らがそれほど神経をと がらせてはいないことがわかってきた。ウィンターボトムは「地元の人たちは事件 をなるべく忠実に再現し、実際に起きた惨劇を多くの人々に伝えることを望んでい た。」と話している。

この作品の見所は、ボスニアで忠実に再現された惨劇シーンの数々。作品内ではボスニア のテレビ局が撮影した実写フィルムなども多く挿入され、ドキュメンタリーに近い 仕上がりになっている。ただ、ストーリーは細かいエピソードが盛り込まれすぎで、 主軸となるストーリーが十分に描き切れていない点が残念なところ。

□公式ホームページ(アスミック)
http://www.iijnet.or.jp/ASMIK/


|milk vol.6 1998/06/22 |home1998

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