【月間メディアチェック】読売新聞・同性愛の夫と結婚した主婦の悩みに適切な回答
■同性愛の夫と結婚した主婦の悩みに適切な回答
■7月24日付け読売新聞

読売新聞内に「人生案内」というコーナーがある。これは夫婦や家族の日常的なあらゆる悩みに、専門家や著名人が答えるというコーナー。そのコーナーに、この日、ある30代の主婦から夫に関する相談が寄せられた。その内容は、「夫との性的交渉が全くなく、同性愛ではないかと心配です。子どもも欲しいと思っている私はこの先どうしたらよいでしょうか」といったもの。

この種の質問は特にめずらしいものではないが、回答する側に同性愛者に関する認識や配慮が少しでも欠けていたりすると、大きな誤解や偏見を、相談者ならびに読者にもたらしかねない。実際に、10年ほど前の、同じ質問に対する読売新聞の回答は、「ジーパンをはいたり、髪を短く切り、なるべくボーイッシュな格好をして夫の興味を引くようにしなさい。そうすれば、あなた(妻)の魅力にいつか気が付いてくれるはずです。」などといった、とんでもないものだったのだ。

しかし、そんな読売新聞も今回は適切な回答を提供している。それもそのはずで、回答者は先月、すこたん企画の伊藤悟さんと「自分らしく生きる〜同性愛とフェミニズム〜」を共著したばかりの作家・落合恵子さん。以下その回答の全文。

そこまでいろいろと知ったうえで、あなたは夫との結婚生活を続けることができるでしょうか。夫が同性愛者であること、また同性愛について理解することとは別に、今こそ夫ととことん話し合うことが必要ではないでしょうか。

例えば夫が他の女性に夢中になり、あなたとの暮らしに「彼女の影」が入り込んできたとします。その時、あなたはどうなさいますか? 離婚するかどうかは最後の決断としても、夫との関係を考え直そうとするはずですし、まずは話し合おうとなさるでしょう。それと同じことではないでしょうか。

それとも、異性を愛せない夫を「かわいそう」に思い、なんとか「矯正」しようと考えておられるのでしょうか。同性愛は「かわいそう」なことではなく、異性愛ではない愛情のことでしかありません。同性愛者について理解が弱い社会ですが、そのことをまず知る必要があると思います。そのうえで、あなたが夫と暮らし続けることは自由ですが、事実から目をそむけず、まずは夫と率直に話し合ってみてください。


|milk vol.8 1998/08/22 |home1998

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